2019年09月19日

台風17号の接近に伴う年次大会開催の可否について

アメリカ学会第16回年次大会への参加を予定の皆様

現在、台風17号が発生し、9月22日(日)には九州北部に接近することが予想されております。

台風に伴い大会を開催するか否かの判断を、21日(土)および22日(日)の午前9時に会員向けメーリングリストおよび公式ウェブサイトにて発表いたしますので、必ずご覧ください。

日本アメリカ史学会運営代表
兼子 歩

2019年09月09日

【日本アメリカ史学会編集委員会】第43号自由投稿原稿募集のお知らせ

『アメリカ史研究』第43号(2020年夏発行予定)では、下記のように自由投稿原稿を募集しています。執筆要項を確認の上、ふるってご投稿下さい。

1.投稿資格
日本アメリカ史学会の会員

2.制限枚数
論文:1ページ43字×38行で19ページまで
  (第36号以降、それ以前より制限枚数が引き上げられています)
研究ノート:1ページ43字×38行で12ページまで
研究動向:1ページ43字×38行で9ページまで
※いずれも注・図表を含む(厳守)。また英数字は2文字で、かな1文字と数える。

3.期限
完成原稿の提出 2019年11月22日(金)必着
※投稿の事前申し込み制度は廃止しました。

4.注意事項
①投稿の際には、原稿に表紙をつけ、そこに投稿者の氏名、所属、連絡先(住所、電話番号、メールアドレス)と、ジャンル(「論文」「研究ノート」「研究動向」のいずれか)を明記してください(論文本文にはタイトルのみを記し、氏名等は記載しないこと)。

②原稿は横書きとし、フォーマット等に関しては、日本アメリカ史学会ホームページに掲載の執筆要項に従ってください。使用言語は日本語です。

③投稿に際しては、推敲を経た「完成原稿」を提出するようにしてください。字数、表記、構成などの点で、投稿論文としての要件を満たしていなければ、受理しないこともあります。

④原稿の提出は、メール添付によりMSワードあるいはPDF形式のファイルの形で編集委員会宛に送ると同時に、印刷したものを1部、郵送その他の方法で学会事務局に届けてください。

編集委員会メールアドレス:editors(a)jaah.jp (a)を@に置き換えください。
学会事務局住所:日本アメリカ史学会事務局
〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋1-1-1パレスサイドビル
株式会社毎日学術フォーラム内

※電子ファイルだけでなく、ハードコピーも、締め切り当日までに必ず学会事務局に届くようにしてください。
※原稿を受け付けた後、編集委員会から確認のメールをお送りします。

⑤投稿原稿は、編集委員会と外部レフリーが審査し、その結果を投稿者に通知します。

『アメリカ史研究』編集委員会

南山大学アメリカ研究センター主催講演会のお知らせ

会員の方から、以下の講演会の案内がありました。

南山大学アメリカ研究センター主催講演会
(共催:南山大学大学院国際地域文化研究科、名古屋アメリカ研究会)

1. 日時:10月12日土曜日 午後2時から午後6時頃まで
2. 場所:南山大学R棟R49教室
R棟は、正門入って、総合受付からすぐ左へ向かってください
南山大学キャンパスマップ
https://www.nanzan-u.ac.jp/CMAP/nagoya/campus-nago.html
3. 共通タイトル:
「奴隷制廃止運動からベトナム反戦へ—トランプ政権とは異なるアメリカを探る—」
4. 趣旨:
日本におけるアメリカ研究・アメリカ史分野の研究を長年にわたり牽引されてきた上杉 忍、油井大三郎両氏より、最近刊行された著作のモチーフとその概要を中心に語っていただきながら、今顕在化する排外主義と一国主義ではない、多文化包摂的で多国間協調的な文脈に沿った「もう一つのアメリカ」像に関して提示をして頂きます。併せて、これまで触れられる機会のなかったお二人の自分史に関しても語って頂きながら、日本人研究者としてのアメリカとの関わり方についてもご提言を頂く予定です。

5. 講演会内容;
(1)講演1 上杉 忍 氏(横浜市立大学名誉教授)
南部農村黒人の抵抗運動からみたアメリカ—
『ハリエット・タブマン—「モーゼ」と呼ばれた黒人女性』 (新曜社、2019年)を
中心に—
・コメント:荒木和華子 氏(新潟県立大学国際地域学部専任講師)

(2)講演2 油井大三郎 氏(東京大学・一橋大学名誉教授)
同時代史としてのベトナム反戦運動—『平和を我らに—越境するベトナム反戦の
声』(岩波書店、2019年)を中心に—
・コメント:平田雅己 氏 (名古屋市立大学人文社会学部准教授)

(3)全体討論

2019年09月04日

年次大会における託児補助のご案内

日本アメリカ史学会会員のみなさま

日本アメリカ史学会大会では、年次大会当日に一時保育・ベビーシッター等を利用する大会参加者に対して、本人からの申請に基づき費用の一部を補助いたします。概要は下記の通りです。

対象期間:
年次大会が開催される2日間

対象となる子ども:
小学校入学前の未就学児

補助金額:
大会2日間で、託児人数1名につき上限3,000円とします(託児日数が1日でも2日でも支給金額は変わりません)。
例:
3人託児(1日)の場合:3,000×3=9,000円
2人託児(2日間)の場合:3,000×2=6,000円
※託児料金が3,000円に満たない場合は、支払金額までを補助対象とします。

申請方法:
大会前日までに、メールに以下の情報を記入し、運営委員会(officeアットマークjaah.jp)までお送りください。
1)名前
2)所属
3)メールアドレス
4)託児サービス利用日
5)利用する事業者名
6)利用する事業者の連絡先

補助金の支払い方法:
申請した方は、大会当日または後日、アメリカ史学会運営委員会まで、託児サービス事業者からの正式な領収書または請求書(託児サービスの利用日時や時間等が明記されているもの。領収書または請求書に、利用日時の記載がない場合は、予約の詳細がわかるような当該事業者のウェブサイトやメールのコピーなども添えてください)と、振込先の口座番号のご提出をお願いします。お支払いを確認した上で、後日、ご指定の口座に補助金を送金します。

日本アメリカ史学会運営委員会

2019年08月16日

第16回年次大会プログラム完成版

第16回年次大会プログラム完成版

2019年9月21日(土)、22日(日)に福岡大学にて開催される第16回日本アメリカ史学会年次大会の、全ての報告タイトル・要旨を含むプログラムが完成いたしましたので、こちらをご覧ください。

日本アメリカ史学会運営委員会

2019年07月08日

福岡大学セミナーハウスの利用追加募集について

日本アメリカ史学会会員のみなさま

先日、年次大会が開催される福岡大学より、9月21日(土)にセミナーハウスをご提供いただき、会員の宿泊希望者を募集いたしました。

現在のところ、部屋に余裕があり、シングルのみでなくツイン・トリプルも1名で宿泊可能となっております。1名での宿泊を希望される方は、部屋の希望を記載せずにご応募ください。なお料金は、1名で宿泊しても複数名で宿泊しても、1名あたりの料金は変わりありません。

宿泊を希望される会員の方は、福岡大学の森丈夫さん(mori-tアットマークfukuoka-u.ac.jp)まで「アメリカ史学会 セミナーハウス希望」のタイトルで、以下の情報を7月31日までにお送りください。

(1)氏名
(2)所属(院生、非常勤等の場合はその旨も記載してください)
(3)連絡先の住所・メールアドレス・電話番号
(4)他の応募者との相部屋での宿泊の可否
(5)(4)で可とした場合、性別(任意)

予約は先着順となります。よろしくお願い申し上げます。

日本アメリカ史学会運営委員会

第44回(4月例会・修論報告会)記録

日本アメリカ史学会会員の皆様

2019年4月に開催されました第44回例会(修論報告会)の記録をアップロードいたしました。
ファイルはこちらからダウンロードできます。

日本アメリカ史学会運営委員会

2019年07月05日

第16回年次大会への参加登録および懇親会費の事前振り込みのお願い

2019年9月21日(土)、22日(日)に福岡大学にて開催される日本アメリカ史学会年次大会の参加登録を開始いたします。大会プログラムの概要はこちらから閲覧できます。要旨・正式報告タイトルを含む詳細は、8月初頭に改めて発表いたします。

◆ 大会参加登録

大会に参加される方は、こちらの学会ホームページの申し込み専用ページから、2019年9月7日(日)までに登録をお願いいたします。

◆ 懇親会の事前振込のお願い

懇親会参加希望の方は、下記の銀行口座に2019年9月12日(木)までに、懇親会費をお振り込みください。懇親会費は、A会員(専任有職者)5000円、B会員(院生、非常勤等)3000円、非会員5000円です。当日の申し込みは上記のプラス500円の参加費で受け付けますが、人数に限りがございますので、事前の払い込みをお願いいたします。

振込先:福岡銀行 七隈支店(店番号258)
    普通口座 1519511
口座名義:モリ タケオ

(注意:銀行口座にお振り込みいただけるのは、大会懇親会費のみです。年会費はお振り込みいただけません。期日までにお振込みくださいますよう、よろしくお願いいたします。)


日本アメリカ史学会運営委員会

2019年06月16日

第16回年次大会におけるセミナーハウス利用の募集(訂正)

日本アメリカ史学会会員のみなさま

日本アメリカ史学会第16回年次大会は、2019年9月21日(土)および22日(日)に、福岡大学にて開催されます。今大会では、福岡市で週末のホテル予約が困難になっている状況に鑑みて、福岡大学のご厚意により9月21日(土)に、セミナーハウスでの宿泊が可能となっております。

福岡大学セミナーハウス公式ウェブサイト

http://www.adm.fukuoka-u.ac.jp/fu811/home1/seminar/

セミナーハウスは、地下鉄七隈線の福岡大学前駅と天神南駅のほぼ中間にある六本松駅から、徒歩8分の場所にあります。

 このセミナーハウスの利用を希望する方を、アメリカ史学会会員限定で募集いたします。部屋のタイプは、以下の3種類です。

・シングル 7部屋1泊1人4,000円

・ツイン 1部屋 1泊1人3,500円

・トリプル 9部屋 1泊1人3,000円

 宿泊を希望される会員の方は、2019年7月31日(水)までに、大会主催校責任者の森丈夫さん(mori-tアットマークfukuoka-u.ac.jp)まで、「アメリカ史学会 セミナーハウス希望」というタイトルで、以下の必要事項を電子メールにてお送りください。(1)〜(4)は必須です。

(1)氏名

(2)所属(院生、非常勤の場合はその旨も記載してください)

(3)連絡先の住所・電話番号・メールアドレス

(4)部屋の希望(シングルのみか、2名でツインないし3名でトリプルを希望するか、ツイン・トリプルで他の会員と相部屋になってもよいか)

(5)(4)で他の会員と相部屋になってもよいと回答した場合、性別(任意)

連名でツインかトリプルの部屋を申し込まれる場合は、希望者全員の氏名・所属・連絡先を記載してください。

 なお、予約は先着順となります。まず非専任(大学院生・非常勤講師など)の方のお申し込みを優先的に受け付け、部屋が埋まった場合はそこで募集を締め切ります。専任の方で応募された方は、結果の通知を締め切り後までお待ちいただくことになります。7月31日を過ぎても空室がある場合には、専任の方も含めて改めて追加募集をいたします。


日本アメリカ史学会運営委員会

日本アメリカ史学会 第16回(通算44回)年次大会プログラム概要

2019年9月21日(土)、22日(日)の日本アメリカ史学会第16回(通算44回)年次大会プログラムの概要が決定いたしました。奮ってご参加いただけますよう、お願い申し上げます。

日本アメリカ史学会運営委員会

--------------------記--------------------
日時:2019年9月21日(土)、22日(日)
会場:福岡大学
814-0180 福岡市城南区七隈八丁目19-1
連絡先:森 丈夫(mori-tアットマークfukuoka-u.ac.jp)

【1日目 2019年9月21日(土) 】
幹事会 12:00〜13:00
シンポジウムA 13:30〜16:30
「変動する諸国家と北アメリカ先住民」
 報告者
  森 丈夫(福岡大学)
  岩崎佳孝(甲南女子大学)
  中野由美子(成蹊大学)
 司会
  鰐淵秀一(共立女子大学)
 コメンテーター
  野口久美子(明治学院大学)
総会 17:10〜18:10
懇親会 18:30〜20:30

【 2日目 2019年9月22日(日) 】
自由論題報告 9:30〜12:05
(第1報告9:30〜10:15 第2報告10:25〜11:10 第3報告11:20〜12:05)
第1セッション
塚田 浩幸(東京外国語大学・院)
「広域インディアンの同盟とアメリカにおける十七世紀の危機」
杉渕 忠基(一橋大学・院)
「クー・クラックス・クラン法をめぐる攻防:制定から人身保護令状による救済の一時停止まで」
石田 美香(大阪大学・院)
「沖縄陪審制の実態と功罪」

第2セッション
山﨑 雄史(愛知県立大学・講)
「カリフォルニア日系移民コミュニティにおける階級軋轢とインターナショナリズム:初期社会主義者とフレズノ労働同盟を中心に」
鈴木 俊弘(一橋大学・院)
「『白人至上主義者』の汚名を着る欲望:1931年の『アウグスト・ヨキネン裁判』をホワイトネス研究から解釈する試論」
宮崎早季(一橋大学・院)
「ハワイ日系人の、戦時記憶の想起と忘却」

第3セッション
日野川 静枝(拓殖大学)
「カリフォルニア大学における科学の軍事化の道具立て:外部資金・特許政策・学則No.4の変更」
浅井 理恵子(国學院大学)
「1950年代の女性史再考:『女性軍人に関する国防諮問委員会』と女性の入隊勧誘キャンペーンに関する予備的考察」
藤岡 真樹(京都大学)
「1950年代後半における『アメリカ的生活様式』と『未完の事業』」

昼休み 12:05〜13:15

シンポジウムB 13:15〜16:15
「アジア・太平洋世界における帝国の軍事秩序と社会変容」(仮)
 報告者
  池上大祐(琉球大学)
  伊佐由貴(一橋大学・院)
  長島怜央(日本学術振興会PD)
 コメンテーター
  阿部小涼(琉球大学)
  臺丸谷美幸(水産大学校)
 司会
  丸山雄生(東海大学)

シンポジウムC 13:15〜16:15
「抵抗の場としての『家族』」
 報告者
  関口洋平(首都大学東京)
  山本明代(名古屋市立大学)
  小野直子(富山大学)
コメンテーター
  岡野八代(同志社大学)
 司会
  野口久美子(明治学院大学)

【 シンポジウム主旨文 】
シンポジウムA「変動する諸国家と北アメリカ先住民」
 本シンポジウムでは、国家という制度的枠組みとの関係を通じた北アメリカ先住民史の諸問題を検討する。より具体的には、北アメリカに存在した諸国家と先住民が取り結んできた関係が、アメリカ合衆国における先住民の位置を考える際にどのような意味を持っていたのかを考えたい。この問題設定は、次のような学説史的な背景を念頭に置いている。1960年代以後、マイノリティに関する歴史研究が重視される中、北アメリカ先住民に関する歴史研究は増大した。ヨーロッパ人による先住民の抑圧に焦点を当てた1960年代-80年代の諸研究に続いて、1990年代以後には、各時期におけるアメリカ合衆国政府の先住民政策の展開とその思想的背景、政策に対する先住民の主体的対応などが明らかにされてきた。そして、このような先住民史研究から、アメリカ史研究は、合衆国の国家と社会の実像をとらえ返す貴重な理解を得てきたのである。
 しかしながら、近年のボーダーランド研究や大陸史研究は、先住民が直面した(あるいは先住民に直面した)国家を想定する際、アメリカ合衆国を対象とした従来の枠組みには収まりきらなくなっていることを示唆している。言うまでもなく、16世紀以後、北アメリカ大陸では、イギリスはもちろん、フランス、スペインなどのグローバルな帝国、またカナダ、メキシコなどの帝国の後継国家も勢力を有した。さらに特定の時代においては、イロコイ部族連合やコマンチェ帝国のようにヨーロッパ系諸国家と拮抗しうる先住民国家も存在した。近年の研究は、北アメリカ大陸の先住民は、このような諸国家が競合する中で、それぞれの国家と複雑な関係を取り結んできたことを明らかにしているのである。加えて、ヨーロッパ系の国家の性格についても新たな理解を考慮すべきであろう。近年のヨーロッパ史で提唱されている「複合君主制論」や「礫岩国家論」は、アメリカ大陸に展開したヨーロッパ諸帝国に関する従来の像を大きく塗り替えているし、アメリカ合衆国にしても、「ポストコロニアル国家」として再評価し、イギリス帝国との連続性/断絶性の上で、その領土政策を捉える意見もある。
 確かに19世紀末以後、カナダを除けば、北アメリカにおける先住民と国家の関係はアメリカ合衆国へと一元化される。とはいえ、この一元化は、それ以前の先住民と諸国家の関係との連続性や断絶性などの文脈の上でとらえ返す必要があるのではないだろうか。「変動する諸国家」という言葉を用いたのは、このような動態的な歴史として先住民とアメリカ合衆国の関係史を考えるためである。以上の検討を通じて、本シンポジウムは先住民史のみならずアメリカ史に新たな研究視角をもたらす一助となることを願っている。


シンポジウムB 「アジア・太平洋世界における帝国の軍事秩序と社会変容」(仮)
 かつてハーマン・メルヴィルは、太平洋を「銀河のような珊瑚礁、低く横たわった無限の未知なる島々、および、測りがたい日本が浮かんで」いると描いた(『白鯨』)。もちろんこの夢のようなイメージは、ヨーロッパ人による16世紀以来の「探検」と征服の歴史が作り出したものである。20世紀転換期になると、太平洋地域は欧米列強によって分割・植民地化され、W・E・B・デュボイスは、この状況と国内での人種差別構造とを重ね合わせて、「20世紀の問題は、皮膚の色による境界線(カラー・ライン)の問題――すなわち、アジア、アフリカ、アメリカ、海洋諸島における肌の色の黒い人種と白い人種との間の関係である」と断じた。以後、日米が激突した第二次世界大戦と、続く冷戦のあいだ、「アメリカの湖」と位置づけられた太平洋地域では軍事力が強化され、さらに米・英・仏の核実験にも見舞われた。
 太平洋の軍事化を進めたのは日本も同様である。帝国の一部としての「南洋」支配は1945年に終焉を迎えたが、冷戦以後の新しい世界秩序においても太平洋の軍事化は続いており、日本もその一部をなしている。とりわけ安倍政権下で、集団的自衛権を認める解釈改憲や安全保障関連法制定など、戦争を可能にする体制は着々と準備されている。防衛費は拡大を続け、高額の最新兵器を次々に購入するいっぽうで、沖縄の基地負担は一向に減らず、南スーダンPKOをめぐって明らかになったように、民主主義の根幹たる情報公開はないがしろにされている。米軍との一体化、軍事力強化を進める日本は太平洋のパワーバランスを不安定化させている。
 このような現在の太平洋情勢を理解するためには、その歴史的な文脈、とくに帝国とその軍事的プレゼンスが多大な影響を与えてきたことを念頭に置く必要がある。戦争や植民地化が各地で進行した背景には、宣教活動や通商の促進など、帝国が自国の利益を追求したことが大きい。にもかかわらず、国家や地域間の利害調整が政策決定者の間のみで思案され、支配の対象と目された人々の生が軽んじられてきたことも改めて強調したい。帝国の軍事的支配は、その下に置かれた社会や文化そして権力関係を大きく変容させ、人の移動を促進したり、押しとどめたりする要因ともなってきた。この過程で被支配者がおこなった交渉に着目することは、支配が人々のアイデンティティを(再)構築したのかを理解するために重要であり、さらには帝国のありようそのものを問い直す契機となる。このローカルな視座なしに、太平洋世界における帝国の秩序とその支配を再検討することはできない。同時に、デュボイスの指摘に倣って、国内の構造との相似形や差異という視座から検討することも有用だろう。
 そこで、本シンポジウムでは、太平洋世界を複数の帝国間の協調・迎合・摩擦の場として捉え、帝国の支配と軍事ネットワークの拡大と変化を、近代から現代まで複数の時代・地域にまたがり、ハードとソフト、マクロとミクロの両面から検討する。

シンポジウムC「抵抗の場としての『家族』」
 1970年代以降、歴史学や社会学では近代的な家族的価値観がタブー視される傾向にあった。家族は国家を維持する最小の単位として誕生し、資本主義やナショナリズムを支える統治のためのシステムととらえられてきた。
 しかし、寄宿学校や養子縁組制度で破壊されるアメリカ先住民の拡大家族、監獄社会の犠牲となるアフリカ系アメリカ人コミュニティ、そして強制送還におびえるいわゆるドリーマーたちなど、アメリカの国家的政策によって破壊されるのもまた社会的弱者の「家族」であり続けているといえよう。こうして破壊された「家族」とはアメリカ史の中にどのように位置づけられるのであろうか。
 本シンポジウムは「抑圧の装置」としての「家族」批判を踏まえつつも、一方で、社会的、人種的マイノリティによる「抵抗の場としての家族」の歴史を掘り起こし、また両者の相互作用をみることで「アメリカの家族」を再考する試みである。
 「抑圧の装置」としての近代的家族を批判の俎上にのせたのが第二波フェミニズム運動であることは論を待たない。フェミニズム運動は「近代家族」の暴力性を暴き出し、今日に引き継がれる「多様な家族」の思想的基盤を作った。しかしその運動は、主流派が「多様な家族」を担保するアメリカ的「ネオリベラルな家族」に取り込まれたことで、そこから「とりこぼされた人々」に対する自己責任論を生んできた、という点も指摘できる。
 また、近代的家族を争点としてきたのはフェミニズム運動ばかりではない。第二波フェミニズム運動の表舞台に現れることは決してなかったが、それ以前から、国家が要請する「家族」への「抵抗」は確かに存在していた。たとえば、1960年代以降のマイノリティ運動が、広義での「反国家(規律)運動」の色彩を帯びるのであれば、社会的、人種的マイノリティもまた、そうした「抵抗」の担い手となってきたといえよう。
 マイノリティ、あるいは社会的弱者にとって、「家族」は「抑圧の装置」であると同時に、「抵抗の場」という二面性を持ってきたし、そうならざるをえなかった。国家的な暴力と排除の理論の中にある彼(女)らにとって、「家族」とは親密圏であり、ケアの場であり、また「国家史」にとりこまれることのない歴史が継承される記憶の場でもあった。
 さらに、国家が要請する「家族」にとりこまれることも、そこでの権利要求によって自らの生きる地歩を確保する戦略的な抵抗であった。特に移民の「家族」は「故郷」のジェンダー関係やトランスナショナルな国民像、民族像を体現することで、ジェンダー関係やナショナリズムを再編、再生産する場でもあった。その「家族」はアメリカと送り出し地域双方の「ナショナリズム」が錯綜し、抵抗と強制、包摂と排除という二面性を持つ複雑な場として機能してきたのである。
 以上の議論からは、アメリカ主流社会(公的領域)からはじき出された人々の「抵抗の場としての家族」の姿がみえてくる。本シンポジウムでは特に20世紀のアメリカ社会において、「いかなる『家族』が理想とされ、その先にどのような国家像が見据えられていたのか」、一方で「そうした国家像から外れたマイノリティや弱者の『家族』はいかなる形で維持、変質、強化されたのか」、そして、こうした「『抵抗の場としての家族』はアメリカの『家族』をいかに変え、あるいは変えられなかったのか」という点について考えてみたい。

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