テーマ: 国際シンポジウム「創られる『アメリカ』 — 国民化の回路を問う —」
日時: 2004 年 6 月 12 日 (土) 14:00 - 18:00
会場: 専修大学神田校舎6号館2階国際会議室
論者および題目:
1) ジョン・ハワード(ロンドン大学キングズ・カレッジ)
"Gendered Interventions:
Americanization and Protestant Evangelism under Japanese American Incarceration"
コメンテーター:島田法子(日本女子大学)
2) メレディス・レイモンド(オバリン大学)
"Global Disease, National Compassion:
Representation of the United States in the HIV/AIDS Pandemic"
コメンテーター:大津留(北川)智恵子(関西大学)
3) ウィリアム・ダリティ、Jr. (ノースキャロライナ大学チャペルヒル校)
"Lateral Mobility, Race, and Americanization"
コメンテーター:松本悠子(中央大学)
司会:中條献(桜美林大学)
国民や国家に対する観念や表象を解体し、その形成過程を問う作業が歴史研究において進んでいる。本例会では、学術振興会科研費「アメリカにおける国民意識の歴史的考察」プロジェクトとの共催で同時通訳も入れ、「アメリカ」の創出と国民化の回路の検討を行った。
まずハワード氏の報告は、従来の研究では注目されることが少なかったアーカンソー州のジェローム収容所、ローワー収容所に焦点を当て、収容所内の学校のカリキュラム、漫画家ジョージ・アキモトによる日系キャラクター“Lil Dan'l”、日系キリスト者の活動を分析し、収容所は日系人を国民化するための教化装置であったと論じた。これに対し、島田氏は、報告タイトルに掲げられた「ジェンダー化された介入」について充分な言及がなかったこと、国民化策としてキリスト教化の役割が過度に強調されたきらいがあることを指摘した。さらに、国民創出の主体と目的を明確にするために、管理・支配の主体であったWRA(戦時転住局)の役割と、日系人の側の国民化への関わりについて丁寧な分析を行っていくことが必要であると述べた。