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第51回例会(7月例会)開催のお知らせ

日本アメリカ史学会 第51回例会「アンテベラム期南部史研究の新解釈」

日時:7月10日(土) 午後2時~5時
媒体:Zoom

企画趣旨
 最近の重要な南部研究においては、アンテベラム期南部の取り上げ方はかつてと大きく異なる。よく知られるとおり、社会史研究は1960年代の社会および学界の動きを受け、綿花プランテーション内における奴隷と奴隷所有者の間の力関係を、心理にも踏み込んで描いた。奴隷の視点に注意を払って掘り下げられたその南部社会像は、アメリカ史像全体の構築にきわめて大きな影響を及ぼしており、高く評価されるべきである。ただ、それら従来の研究はしばしば、南部の奴隷制度を北部の資本主義市場経済と対立するものとして提示しがちだった。また分析空間の面で固定した、静的な印象を与えるきらいがあったといえる。
 これに対し、スヴェン・ベッカート、エドワード・バプティスト、ウォルター・ジョンソンなどの研究は奴隷の経験を大きく取り上げつつ、綿花プランテーションとその外との、空間的な広がりとつながりに焦点をあてている。グローバルな綿花貿易や国内の奴隷売買、また奴隷も含めた物資輸送ルートとしての河川や、商取引の結節点として機能した都市などが取り上げられている。そしてプランテーションの経営や奴隷制度の運用も資本主義の発展に対応しており、それに呼応する暴力や搾取の仕組みが用いられていたとされる。スティーヴン・ハーンによる近年の19世紀通史もニューオーリンズに注目し、南部がそこからどのように地理的・経済的・その他の拡張を構想していたかに注意を促している。これらの新傾向に伴い、これまで統合的な社会像をえがく際にはあまり光が当たらなかった人口集団についても、検討が進んでいる。
 本例会では、このように動的で多様な性格を強調する南部史研究の潮流を踏まえ、それに対応する実証研究を報告いただく。新たな論点を提供いただくほか、新世代の経済史・社会史・文化史としての性格について、またこうした新しい研究が指し示す南部像・また19世紀史像についても議論したい。

報告:
柳生智子(慶応義塾大学)
 「国内奴隷取引ビジネスの再考:奴隷商人資料の分析を中心に」
児玉真希(東京大学)
 「アンテベラム期のニューオーリンズにおける貧困層女性と身体の管理」

コメント:
久田由佳子(愛知県立大学)
鈴木茂(名古屋外国語大学)


※参加手続き及び関係事項
・参加される方は、7月3日(土)までに、こちらのフォームから事前登録をお願いいたします。接続先URLは、参加登録をされた方に後日お知らせします。
・非会員の方のご参加には会員の紹介が必要です。詳細は運営委員会(office@jaah.jp)までお問い合わせください。
・Zoomの接続・操作練習会は開催しません。接続や操作方法を確認したい方は、Zoomのテストミーティングをご利用ください。詳細は以下のサイトをご参照ください(https://support.zoom.us/hc/ja/articles/115002262083

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2021年06月01日 00:16に投稿されたエントリーのページです。

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