【日本アメリカ史学会編集委員会】 第46号特集投稿論文募集のお知らせ
日本アメリカ史学会会員のみなさま
『アメリカ史研究』 第46号では、「インターセクショナリティとアメリカ史研究」というテーマで論考を募集します。下記の趣旨説明と投稿要領を参照の上、ふるってご応募ください。
■趣旨説明
『アメリカ史研究』 第46号の特集テーマは、「インターセクショナリティとアメリカ史研究」とする。黒人女性法学者で活動家のKimberlé Crenshawが1989年の論文の中で提唱したインターセクショナリティ(intersectionality、交差性)は、人種、階級、ジェンダー、セクシュアリティ、エスニシティ、ネイション、アビリティ、年齢などの様々な社会的カテゴリーを、相互に関係し形成しあうものとしてとらえる概念、分析枠組である。19世紀の黒人女性活動家らによる問題提起にその起源を有し、1960〜70年代のブラック・フェミニズムやチカーナ・フェミニズムなど有色の女性たちの思想実践から編み上げられたインターセクショナリティの概念は、今日まで様々な学問分野や社会運動の指針として、社会の抑圧構造や権力関係を歴史的な文脈から可視化している。
2020年のブラック・ライヴズ・マター(BLM)運動の世界的広がりを受けて再注目されたインターセクショナリティは、日本の人口にも膾炙しつつあるが、本誌においても近年この概念が明示された特集や論考が登場している。たとえば42号(2019年)では、特集「都市空間のアメリカ史」において「インターセクショナルな運動の舞台」としての都市空間を分析した論考のほか、兼子歩による時評「インターセクショナリティの時代?——『女性のワシントン大行進』にみるジェンダーと人種」が掲載された。また44号(2021年)の特集「グローバルな連帯」では、阿部小涼が1968年に沖縄で起きた婦女暴行事件に対する黒人兵の冤罪裁判を例に、「植民地主義と性差別というインターセクショナルな課題」を紐解いている。
しかし、アメリカ史研究の分野においては、女性史や移民史、黒人や先住民などマイノリティの歴史に関する研究を中心に、これまでにもすでに多数の論考が「インターセクショナリティ」という語を前面に打ち出さずとも、様々なカテゴリーの交差を念頭に歴史事象を分析してきた。かつては「人種・階級・ジェンダー(・セクシュアリティ)」などと表されていた、アメリカ史における複合的かつ重層的な権力関係の諸相をインターセクショナリティと名指し、あるいはその交差を意識することによって、歴史叙述のありかたに変化は起こるのだろうか。また、同概念を前景化することで可視化されるものや不可視化されるものはあるのだろうか。本特集は、こうした問いをあらためて再考する機会としたい。さらに、アメリカ史の事例研究に限らず、アメリカ史研究という分野あるいはアメリカ史研究者としての立場性をインターセクショナルな視点から再考するような多様な論考も歓迎したい。
■特集投稿論文の要領
1)投稿資格
日本アメリカ史学会の会員
2)制限枚数
本文・脚注ともに1ページ 43字×38行で 17ページまで 注・図表を含む(厳守)
(英数字は2文字で、かな1文字と数える。)
3)期限
完成原稿の提出 2023年2月3日(金)必着
4)注意事項
①完成原稿は、メール添付によりMSワードあるいはPDF形式のファイルの形で編集委員会Eメールアドレス(下記)に送付し、同時にハードコピーを学会事務局に郵送してください(期限厳守)。なお、編集委員会からの受領通知を必ずご確認ください。
編集委員会Eメールアドレス: editors[at]jaah.jp
事務局住所:日本アメリカ史学会事務局
〒100-0003 東京都千代田区一ツ橋1-1-1 パレスサイドビル
株式会社毎日学術フォーラム内
②原稿には表紙をつけ、そこに、投稿者の氏名、所属、連絡先(住所、電話番号、メールアドレス)を明記してください。査読の公平性を保つため、論文本文にはタイトルのみを記し、氏名等は記載しないでください。
③原稿は横書きとします。原稿のフォーマット等に関しては、日本アメリカ史学会ホームページに掲載の執筆要項にしたがってください。
④完成原稿は、編集委員会が審査し、その結果をすみやかに投稿者に通知します。
『アメリカ史研究』編集委員会