第57回例会(7月例会)「歴史の中の感情を描く 感情史とアメリカ史」開催のお知らせ
日本アメリカ史学会は、以下の要領で第57回例会(7月例会)「歴史の中の感情を描く 感情史とアメリカ史」を開催いたします。参加登録につきましては、続報でお知らせいたします。どうぞ奮ってご参加ください。
日時:2023年7月22日(土)14時00分〜17時00分
開催形式:オンライン開催(Zoom)
趣旨
近年、感情をめぐる探究は心理学や神経科学、文化人類学から歴史学へも広がりをみせている。人々の心の動きをめぐる歴史研究として最も広く知られているのは、アナール学派の心性史だろう。感情史は比較的新しい分野であり、自然科学における感情研究の深化に多分に影響されたものである。感情史はヨーロッパの研究者が牽引している分野であるが、バーバラ・H・ローゼンワイン『感情史とは何か』、ヤン・プランパー『感情史の始まり』、アラン・コルバン『感情の歴史』などの翻訳が相次いで刊行され、日本でも注目を集めている。アメリカ合衆国では、エモーショノロジーの提唱者のひとりであるピーター・スターンズが感情史の普及に精力的に取り組んでいる。
他方、アメリカ史では感情史という枠組みを用いることはなくとも、人々の心の動きを探る試みは様々に展開されてきた。情念(passion)、情感(sentiment)や感性(sensibility)など、人々の心の動きに関する概念や表現はアメリカ史研究者にはお馴染みのものであろう。植民地時代における大覚醒やマッカーシズムの時代におけるパラノイア、核戦争の恐怖に至るまで、人々の集団心理とそのダイナミズムは繰り返し議論の俎上にのせられてきた。さらに、奴隷制廃止運動からブラック・ライブズ・マター運動に至るまで、時と場所を超えて社会の変革を目指す取り組みの原動力にも挙げられるのが共感(sympathy/empathy)である。森山貴仁氏が研究対象とする保守主義においても、人々の感情的な紐帯が運動を支えているとみなされることも多い。また、久野愛氏が牽引してきた感覚史のように、外部からの刺激に対するより直接的、身体的な変化を歴史的に考察する取り組みも進んでいる。
本例会では、感情をめぐる歴史研究に取り組んでいる二人の若手研究者による報告に続いて、『痛みと感情のイギリス史』の編著者の一人である伊東剛史氏、さらに感情史と関わりの深いジェンダー史、思想史の観点から佐々木一惠氏にコメントをお願いする。主にヨーロッパ史の文脈で紡がれてきた感情史とアメリカ史の対話を試みる機会となる。
司会
大鳥由香子(東京外国語大学)
報告
久野愛(東京大学)
森山貴仁(南山大学)
コメント
伊東剛史(東京外国語大学)
佐々木一惠(法政大学)