日本アメリカ史学会は、以下の要領で第57回例会(7月例会)「歴史の中の感情を描く
感情史とアメリカ史」を開催いたします。近年、歴史学界で注目を集める感情史とア
メリカ史の接点について、多くの会員のみなさまと議論を深めることができればと思い
ます。どうぞ奮ってご参加ください。
日時:2023年7月22日(土)14時00分~16時30分
開催形式:オンライン開催(Zoom)
プログラム:
14:00-14:10
趣旨説明:大鳥由香子(東京外国語大学)
14:10-14:40
報告1:森山貴仁(南山大学)
「不合理の合理――アメリカ保守主義運動と感情」
14:40-15:10
報告2:久野愛(東京大学)
「消費主義社会拡大にみる感情と身体の歴史―― 1930年代日本におけるアメリカ的百
貨店の導入と近代化する笑顔」
15:10-15:20
休憩
15:20-15:35
コメント:伊東剛史(東京外国語大学)
15:35-15:50
コメント:佐々木一惠(法政大学)
15:50-16:30
質疑応答およびディスカッション
趣旨
近年、感情をめぐる探究は心理学や神経科学、文化人類学から歴史学へも広がりをみせ
ている。人々の心の動きをめぐる歴史研究として最も広く知られているのは、アナール
学派の心性史だろう。感情史は比較的新しい分野であり、自然科学における感情研究の
深化に多分に影響されたものである。感情史はヨーロッパの研究者が牽引している分野
であるが、バーバラ・H・ローゼンワイン『感情史とは何か』、ヤン・プランパー『感
情史の始まり』、アラン・コルバン『感情の歴史』などの翻訳が相次いで刊行され、日
本でも注目を集めている。アメリカ合衆国では、エモーショノロジーの提唱者のひとり
であるピーター・スターンズが感情史の普及に精力的に取り組んでいる。
他方、アメリカ史では感情史という枠組みを用いることはなくとも、人々の心の動きを
探る試みは様々に展開されてきた。情念(passion)、情感(sentiment)や感性(sensibili
ty)など、人々の心の動きに関する概念や表現はアメリカ史研究者にはお馴染みのもの
であろう。植民地時代における大覚醒やマッカーシズムの時代におけるパラノイア、核
戦争の恐怖に至るまで、人々の集団心理とそのダイナミズムは繰り返し議論の俎上にの
せられてきた。さらに、奴隷制廃止運動からブラック・ライブズ・マター運動に至るま
で、時と場所を超えて社会の変革を目指す取り組みの原動力にも挙げられるのが共感(s
ympathy/empathy)である。森山貴仁氏が研究対象とする保守主義においても、人々の感
情的な紐帯が運動を支えているとみなされることも多い。また、久野愛氏が牽引してき
た感覚史のように、外部からの刺激に対するより直接的、身体的な変化を歴史的に考察
する取り組みも進んでいる。
本例会では、感情をめぐる歴史研究に取り組んでいる二人の若手研究者による報告に続
いて、『痛みと感情のイギリス史』の編著者の一人である伊東剛史氏、さらに感情史と
関わりの深いジェンダー史、思想史の観点から佐々木一惠氏にコメントをお願いする。
主にヨーロッパ史の文脈で紡がれてきた感情史とアメリカ史の対話を試みる機会となる
。
※例会終了後、報告者・参加者との懇談の機会として、30分程度のアフターセッション
を予定しています。
※参加手続き及び関係事項
・参加される方は、7月20日(木)までに、こちらのフォームから事前登録をお願いいたします。接続先URLは、参加登録をされた方に後日お知らせします。
・非会員の方のご参加には会員の紹介が必要です。詳細は運営委員会(office [at]
jaah.jp)までお問い合わせください。